朝日新聞が「尖閣と米国」という記事を載せている。
野田首相のとき、クリントン米国務長官が
「本当に尖閣国有化は必要なのか?」と迫ったらしい。
今回の安倍首相の靖国参拝の深刻さの原因は、
まさにこの「尖閣国有化」にある。
わしも石原慎太郎が都有化すると宣言したとき
喜んでしまったが、あれは単純すぎた。
その後の「寄付金ナショナリズム」でようやく目が覚めて、
「カネで領土は買えないぞ!」と警告し始めたが、
時すでに遅し、中国のナショナリズムに火をつけ、
国有化によって日中は一触即発の状態に陥った。
寄付金はまったくの無駄だった。
安易なナショナリズムが戦争への道を開いた例として、
将来、歴史教科書に記載されるかもしれない。
寄付金は未だに宙に浮いたままだ。
あの時、都有化していたら、タカ派の日本人が
どんどん上陸し始めて、もっと危なかったから、
野田首相の国有化は已むを得ない処置だっただろう。
今や尖閣を巡る危険な状態の中で、
安倍首相の靖国参拝が強行されたのだから、
中国は「尖閣」と「靖國」のダブルパンチで
面子を潰された。
バイデン米副大統領は安倍首相にこう言ったという。
「意図した衝突よりひどいのはただ一つ、
意図しない衝突だ」
これが米国の戦争に対する哲学であり、
安倍首相にも、日本の自称保守派にも、
この警戒感が微塵もない。
アメリカに守ってもらえるという依存心が、
戦争への警戒心を育てないのだ。
これこそが「平和ボケ」の代表例であろう。